よみよみ

前からちょっと気になっていた、「数学嫌いでも『数学的思考力』が飛躍的に身につく本！」というものを読んでみた。
こういう、ハウツー的な書籍を読むとき、自分の悪い癖で、読むだけでなにか特殊な能力が身につくんじゃないかとか、頭がよくなるんじゃないかとか、過度な期待をしてしまう。
とくに執筆に息詰まってるとき、小説指南書などを書店で見かけると、光の速さで衝動買いしてしまうこともあった。その結果、役に立った部分もあり、立たなかった部分もあり。結局は、自分の実力次第というスタート地点に舞い戻る始末。
最近では、自分の創作のペースとか心構えとかがようやく出来つつあるのか、指南書を漁ることもなくなっているけれど。

さて、本題の「数学嫌いでも～」
このタイトルを始めて見たとき、やっぱり最初に感じるのは期待です。
で、その後には、これまでの経験から来る「ほんとかよ……」という不安と疑惑。
で、ちょうど他に欲しい本もあったので、ア○ゾンさんに注文するついでにカートへぽん。ああ衝動買い。ついでに「ワンダと巨像」のサントラと、宮部みゆきさんの「ＩＣＯ」のノベライズ本も衝動買い。

予想していたより一日早く届き、本命の本を差し置いて、いざ表紙を開く。カバーの折り返しの文句を見て「面倒くさそうだな……」と思いつつ、読み進める。

……
…………
………………
あれ、目からウロコが……
無闇に何かを絶賛する、という行為は好きではないのだけれど、ア○ゾンさんでのレヴューで、ありえないほどの好評を得ていたのも納得できる内容だった。
数学嫌い～という、さも私に「さあ読むがいい」と言っているかのようなタイトル通り、分かりやすい言葉遣い、例えを用いて展開される解説。筋道は段階を踏んで、こちらに考える時間をもたらし、私に“考えながら読む”という読み方を思い出させてくれたような気さえする。
そういえば最近、読書といえば資料だのなんだの、知識を詰め込むことを意識しすぎていたような……。

この本ではそれを否定し、考えながら情報に接することの大切さと重要性を、再認識させてくれたような気がする。
底辺に近い場所とはいえ、社会に出るようになり、削られていく時間に焦りながら本を読んでいたけれど、それではどうやらダメらしい。
時間がないからこそ、考えながら本を読み、情報に接する。
そう思えるようになっただけでも、この本を読んだ意味はあったように思う。
もちろんそれだけに留まりたくはないので、暇なときにでももっと読み込んで、さらに理解を深めたい。