無題

懐かしい音韻に誘われて、最近「学校の怪談」に手をつけはじめたんです。
ええ。あの、コミックブンブンの方の。
単行本を買ったのは「花子さんが魔法少女よろしく変身して悪霊と戦う」方ですけど。
……これが時代か……。
昨今の花子さんは可愛らしいです。今は着物姿が定着してるんですかね？　私が小学生のときは、ふつうに洋服か、赤いワンピースだったような気がします。可愛いからいいけど。
可愛いからいいけど。

トイレの花子さんっていえば、私が通っていた小学校にもそれらしい噂がありました。
それは体育館のトイレで、敷地の一番すみっこで、体育館の裏口と短い廊下で繋がっていました。
数本の竹が、トイレを覆うように茂っていて、昼でも暗い場所でした。「いかにも」なところです。
で、その噂ですが、実際に花子さんが出たとかそういう類ではありませんでした。
昔、そこで女の子が変質者に殺された、という噂です。だから近づくな、「出るぞ」と、よく脅されたものです。
調べたわけではないですが、そんなことがあれば学校の外でも話を聞くだろうし……。たぶん、嘘です。
まあでも、どこの学校にもありそうな話です。そういうアングラな要素のある「学校」というもの、今思うととても心惹かれてしまいます。

授業は退屈で仕方なかったですが、学校の雰囲気そのものは好きでした。
たとえば、学園祭などの準備で夜遅くまで残ったときなど。電気を点けるから、外は暗く、校内は明るくなりますよね。それが好きでした。
いつもと違う、非日常の世界を垣間見ているような、変な高揚感がありましたねー。
それと、梅雨時の暗さもたまりません。外はじとじとじとじと雨が降って、暗くなる。室内は明るくなる。まるで暗闇に閉じ込められてるような、けれど生徒がたくさんいるから怖くない、みたいな感じ。
これが家とか、店とかになると、なんだか違うなあと思ってしまう。
やっぱり、学校という場所は特殊なんですかね。

……あ、他人の家というのもなんか好きかも。